ただ愛してるだけ
「どうして?」

律子さんの意見を聞こうとしていなかった私も悪いけれど、そんな事今まで一度も言った事なかったのに。

「彼が、アイドルだからよ。」

私はため息をついた。

「何それ。ただの偏見じゃない。」

「偏見じゃないわ。冷静になって考えてもみなさい。人気女優が年下のアイドルと恋愛!?笑い者になるだけだわ。」

私は、窓の外を見た。

もう何度、律子さんの車の中で、彼女の意見を外に流したんだろう。


そこに、私の気持ちはあった?

私は、慶人君とどうなろうと思っているの?

どうなる?

どうなる訳じゃない。

私はただ、慶人君と一緒にいたいだけよ。


「律子さん。申し訳ないけど、黙って見守ってくれないかな。」

「夕陽!」

「お願い。久しぶりに、本気の恋愛ができるかもしれないの。」
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