ただ愛してるだけ
律子さんは、ふぅーと息を吐いた。

「だったら、余計今のうちに諦めてちょうだい。」

「律子さん!」

「本気になったら、何もかも辛いわよ?」


涙が出そうになった。

どうして、慶人君の仲をそんなにまで、反対するの?


「……そういう律子さんは、どうなの?」

「なに?」

「結婚して、子供まで産んで。旦那さんの事、本気で好きだったんじゃないの?」

律子さんは、無言だった。

「ああ、そうね。本気じゃないから、別れたんだもんね。」

そうよ。

そうじゃなかったら、本気になる前に別れなさいなんて、言わないはずだわ。


「……本気だったわよ。」

律子さんは、ボソッと言った。

「他の女との浮気も、許せる程にね。」

「えっ……」

浮気?

律子さんの元旦那、浮気してたの?
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