ただ愛してるだけ
「でも、子供への暴力だけは、許せなかった。」

「律子さん……」

「子供を守るのは、親の務めだから。妻である事よりも、母親であることを取ったのかもね。」

律子さんは、そこで寂しそうに笑った。


「でもね、夕陽。私は一般人。あなたは……」

「はいはい。分かっています。芸能人って言うんでしょ。」

「そうよ。立場をわきまえて頂戴。」

何の話をしても、最後はそこに行きつく。


私は、何の為に芸能人になったんだろう。

チヤホヤされる為?

違う。


「律子さん。芸能人だって、一般人と一緒よ。」

「夕陽。それは、間違いの元よ。」

「間違いじゃないわ。ただ演じる仕事をしているだけ!」

そうよ。

女優だからって、好きな人まで選ぶ事なんかできない。
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