ただ愛してるだけ

『そんな事、考える必要ないよ！』

そう叫ばれて、私は黙ってしまった。

『俺達、何も悪い事していないだろう。ただ、愛し合っているだけだ。』


ただ、愛し合っているだけ……

その言葉が、どんなに胸に響いたか。

気づいたら、涙が溢れていた。


「ごめんなさい。」

『夕陽さん？』

「二人の為にも、ここは仲のいい後輩の一人にしておくね。」

『何でだよ。なぜ恋人であることを、隠すんだよ。』

「ごめんなさい。」

すると、律子さんが私のスマホを取り上げた。


「突然ごめんなさいね。夕陽のマネージャーの野口です。」

『この前の方ですよね。』

「そう。はっきり言うけれど、夕陽は人気女優なの。あなたとの交際が、明るみに出たら、夕陽が困るの。分かってね。」

そう言って律子さんは、電話を切った。

「これでよかったわね？夕陽。」

私は涙を拭きながら、うんと頷いた。