ただ愛してるだけ
翌日。

撮影が終わって、律子さんの車で送られている時だった。

「ねえ、律子さん。」

「なあに?」

言うか言うまいか、迷ったけれど、こういう事は律子さんに言った方がいいかもね。

「慶人君と、別れたわ。」

「そう。」

律子さんの答えは、あっさりしていた。

まるでそれが、当たり前のように。

「それでよかったのよ、夕陽。」

私の心情を察してくれたのか、律子さんは優しく声を掛けてくれた。

「相手は、まだ若いんだから、今回のスクープがどれほど大きい物なのか、分かっていないのよ。」

「そうね。」

「これで心おきなく、仲のいい後輩の一人って、言えるわね。」

「仲のいい……ね。」

私は、流れて行く景色の中、ずっと慶人君の事を思っていた。
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