ショートシアター
ひなまつり


「あかりをつけましょ、ぼんぼりにぃー」

「いきなりどしたの」

「お花をあげましょ、桃の花ぁー」

「おっと、無視ですか」


……そういうわけではないけど、
今日はだって


「“ひなまつり”なんだよ!」

「…だから?」

「え」


……確かに、3月3日の今日、祝日でも無ければ長連休でもない、何の変哲もないごくごく普通の日だ

だけどそんな今日だからこそ!!


「チラシズシが食べれるじゃん!」

「……そう」


“よかったね”と、それはそれは大きな溜め息をつきながら言うりっちゃん。

何さッ、チラシズシおいしーじゃん

「ひーちゃんよ、そんなに食べたいなら普段の日にでも作って食べればいーのでは?」

「おっとそれは聞きずてならないですねー、その日に食べるからまた特別なのですよー」

「……ハイハイ、俺が悪かったですよ」

「そして、もうひとつ」



「乙女心ですよ!」


「へぇ…」


何でそうなるんだろ?、なんて呟いてるりっちゃん。わかってないなー、答えはとてもシンプルなのにな。


     ひなまつり

    (“女の子のための日”には特に、好きな人とは一緒にいたいんだよ?)

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