星と太陽に魔法の歌を
僕が小学6年生になったある日、僕と美影、美影の双子の弟である英太とともに街を歩いていた。風が吹き、木々がキレイな音を立てる。
「…僕たち、春休みに入ったら転校することになったんだ」
美影が寂しそうな顔で空を見上げた。美影の言葉に、僕の足が止まる。
「…寂しくなるね。深冬に会えないなんてさ…」
「え…?それ、本当…なの?」
美影と英太が嘘をつく子ではないと分かっていても聞き返してしまう。
「本当…だよ」
英太が悲しそうに笑った。英太の笑顔を見た美影は泣きそうになっている。
「美影、英太…」
僕は2人の名前を呼び、悲しそうに見つめる。
「だ、から…あ、れ?」
突然、美影の体が崩れ落ちた。それを僕が支え、英太は驚きを隠せない様子で美影に近寄った。
「美影…!…ん?」
僕は彼の中から微かな霊の気配を感じ、印を結んだ。美影と英太は、僕のことを全て知っている。その代わり、僕も美影のことを全て知っているのだ。
「天地を縛り付ける者よ。今、我の前に姿を現せ」
言霊を唱えると、美影の中から小さな女の子の霊が現れた。…なるほど。美影は、霊に取り憑かれやすい体質だったんだ。
霊は僕に微笑み、消えていった。僕は、美影の力が抜けた体を支えながら、美影の様子を見ていた。
…僕が美影の体質に気が付かなかったのは、これのおかげか。
美影のカバンに付けられているお守りを見つめながら、そう思った。しかし、このお守りはもう効果はないようだ。
…効果切れ…なるほど。だから、美影は霊に取り憑かれたのか。一体誰が美影にこのお守りを渡したのだろう。…ん?効果切れ?
美影の体が小さく動いた。僕は「…美影、大丈夫?」と問いかける。
「…大丈夫だよ。あれ、あの女の子は?」
「あの女の子?」
英太が首を傾げ、僕は「…美影って霊感があったっけ?」と首を傾げた。
「え?あ…最近、霊を見るんだ。話しかけてくる」
「嘘でしょ…お前、強い霊感を持っていたんだ…霊の声を聞くことが出来ると、霊に取り憑かれやすいんだ」
英太を見てみると、英太は霊感を持っていないようだ。