星と太陽に魔法の歌を
僕は、目覚まし時計の音と暖かい光で目を覚ました。どうやら僕は昔の夢を見ていたらしい。
…千晴に会いたくないな。あれ?何で、会いたくないんだろ?
僕は、ゆっくりと布団から出ると制服に着替えた。朝食をとり終えた僕はゆっくりと通学路を歩いた。いつもの千晴との合流地点。そこには、いつものように千晴が立っていた。
「あ、深冬…おはよう」
僕の心臓が大きく波打っている。…どうして?
「あ、お…おはよう」
僕は曖昧に返事をすると千晴の横を通り過ぎた。慌てて千晴が僕に近寄り、僕の手を引いた。
「ねぇ、深冬…昨日からおかしいけど、どうしたの?」
「おかしい?僕が?」
僕は、千晴に微笑む。…千晴は、もしかして…昨日、千晴が僕に言ったことを何かに感じているのかな?
「うん。俺、昨日変なことを言った?」
「言ってないよ。何か心配なことでもあるの?」
「…じゃ、じゃあ…何で昨日、急に走り出したの?」
僕は千晴の問いかけに、口をつぐんで視線を地面に落とした。…千晴に言う気が無い。
「……千晴には関係ない!放っておいてよ!」
僕は、学校に向かって走り始めた。
俺は、深冬の言葉に正直戸惑っていた。俺が深冬を傷つけていないのなら…何で?
「…俺は、深冬にとってどんな存在なんだろ…?もう何も分からないよ」
俺は、その場で泣きじゃくった。そして、涙が収まると俺は学校に向かって歩き始めた。
学校に着き、廊下を歩いていると俺と同じクラスの男子と深冬がいた。俺は、気配を消して深冬と男子の会話を聞いていた。
「ねぇ。深冬にとって…千晴は、友達なの?」
「…友達…じゃないよ」
深冬の放った言葉が俺の心に突き刺さった。深冬は、何か話を続けているようだが、急に体が重くなり周りの音も聞こえなくなった。俺の意識はここで途切れた。