星と太陽に魔法の歌を
ある日の休日、僕は美影に連れられて公園に遊びに来ていた。その公園に、千晴もいる。美影が誘ったらしい。
「…こうやって3人で遊ぶのって、保育園児以来だよね」
美影が懐かしそうに言った。千晴は「確かに」とうなずく。
「…千晴、あのさ――」
「あれ?深冬じゃん…ずっと探していたんだよね」
僕が謝ろうと口を開いた時、後ろから1番会いたくない人の声が聞こえる。無意識に、体が反応した。…小学生の頃、僕に悪口を言ってきたやつだ。
「僕に悪口を言いに…か?」
僕は、男子を睨んだ。男子は冷たく笑いながら「どうだろうね」と言い、近くに飾ってあった「花束」を踏みつけた。男子は、嘲笑を浮かべている。
「…あのさ。何でそこに花が飾ってあると思う?」
美影が声を低くして言った。
「どうせ、事故にでも巻き込まれて命を落とした哀れな動物のためのでしょ」
美影の表情が崩れるのが、美影の顔を見ていない僕でも分かった。
「…じゃあな」
男子は、身を翻して歩いていく。美影は、その場で立ち尽くしていた。美影は――双子の弟を事故で失っている。
そして、泣き崩れる美影を僕と千晴はそっと抱きしめた。
一瞬、男子がこちらを悲しげに見ていたような気がした。