星と太陽に魔法の歌を



美影の涙が収まると、千晴が僕を見つめた。あの男子と何があったの?と言いたげだ。美影の過去は、千晴も知っている。しかし、僕の過去は千晴は知らない。

ため息をついた僕は、小学生の頃と中学生の頃の話、そして…千晴に謝った。

「ごめんなさい…千晴は何も悪くないんだ。あの時、小学生と中学生の頃の記憶と重なって…千晴に裏切られるのが怖くって…」

「…俺、それは気にしていないよ。でも、俺…深冬の話、聞いてしまって…」

僕は、千晴が倒れた時のことを思い出した。あの日、廊下を歩いていたら千晴と同じクラスの男子と会い、一緒に歩いていた所…男子が「千晴は、友達なの?」と問いかけて来たのだ。

「…俺は、深冬の友達なんかじゃないの?…深冬が『…友達…じゃないよ』って言っていたから」

「僕は…『友達じゃないよ…何て言うのかな。親友になれたら良いなって思ってる。いや…もう親友になっているかもね』って言ったんだ」

僕は、千晴に微笑んだ。千晴は、顔を赤くして「え…?」と僕を見つめた。

「そうだったんだ。ありがとう…ごめんなさい…」

千晴は、泣き崩れた。僕と美影は、顔を見合わせて微笑む。美影は、仲直り出来て良かったね、と目で言っていた。
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