星と太陽に魔法の歌を



千晴の涙が収まった時、美影が男子が踏みつけた花を拾った。そして、僕らに向かって微笑んだ。

「…上手くいって良かったね」

物陰から小学生の頃のクラスメイトである男子、瑠梨、琥白が現れた。僕と千晴は、顔を見合わせて驚いていた。その僕らの表情を見た美影がクスりと笑った。

「皆、ごめんね。手伝ってもらって」

「良いよ…2人の仲直りのためだもん」

瑠梨が美影の手にある花を魔法で直し、美影がまた飾り直した。

「…緊張したな。この子に成り切るのが」

男子の姿が煙に包まれ、その煙の中から現れたのは――氷翠だ。

「ど、どういうこと?」

僕と千晴が首を傾げていると、琥白が「美影に頼まれた。2人を仲直りさせたいから、協力して欲しいって」と言った。

「まず、僕が千晴をこの公園に遊びに来ようって誘って、次に深冬をこの公園に連れてくる」

「そこへ、小学生の頃のクラスメイトの男子に魔法を使って姿を変えた私が登場して…本当はやりたくなかったんだけど」

「…ごめんね、皆。深冬と千晴は、こういう方法が1番良いのかなって…思ってさ」

美影は、イタズラっ子のような笑顔を見せた。この公園内にいる皆は、同時に微笑んだ。
< 27 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop