星と太陽に魔法の歌を



僕と千晴、美影で町を歩いていると僕が中学生の頃に友達だと思っていた男子、宮下(みやした) あずさと遭遇をした。

「あ、深冬…元気そうで良かった~…あのさ、話があるんだけど…もういいや。あの…ごめんなさい…ずっと謝りたかったんだけど、謝れなくて…僕、本当は知っていたんだ。深冬が悪口を言われていたこと…でも、ちょっと家族間で色々とあって…あんなことを言ってしまったんだ。僕と友達に戻ってください」

「答える前に1つ聞かせて…家族間?何があったの?」

あずさは、少し暗い顔をすると「おばあちゃんに『あんた、私の夫を返してよ!…私の娘も返せ』って…」と言った。

「…おじいちゃんは僕が産まれる前に命を落として、お母さんは、僕が生まれてすぐに命を落としたんだ。僕は、父にずっと育てられて来たんだよ…ある日、おばあちゃんが町を徘徊をするようになって、物忘れが激しくなって…」

僕はあずさと仲が良かった時に、あずさが言っていたことと照らし合わせながら聞いていた。

「おばあちゃんに久しぶりに会いに行った時、僕を見て悲鳴を上げたんだ。『お前、誰!?…もしかして…あんた、私の夫を返してよ!…私の娘も返せ』って僕に詰め寄りかかりながら言ってきたんだ。それが僕にとって、ものすごくショックで…だから、深冬たちにひどいことをしてしまったんだろう」

あずさの言っていることは、全てが真実なようで僕がこっそりとあずさにかけていた魔法が弾けなかった。僕があずさにかけた魔法は、『嘘を見破る魔法』で嘘をつくと、魔法が弾けるしくみになっている。

僕はあずさにかけていた魔法を解き、どうしようか迷った。僕は、数分で答えを出した。

「…あずさ。僕は――」
< 28 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop