星と太陽に魔法の歌を
僕らは、目的地にたどり着いた。そこに居たのは、僕らのクラスの担任である谷口先生だ。
「…まだ1つ目なのね。皆、そうなのだけれど…よし。チェックします」
ふわふわと空に浮いている僕らの手から紙が離れ、先生の元へと飛んでいく。先生は、その紙に魔法で印をつけた。
その紙が僕らの元へと戻ってくる。僕らはそれを受け取り、次の場所を読んだ。そして、また高度を上げる。
その時、強い霊気が風に混ざり、僕の頬を撫でた。僕と千晴は、顔を見合わせた。僕の少し前を飛んでいた美影が体制を崩して落ちていく。ただ、魔法が解けたわけでは無いようだ。
僕は、落ちていく美影の体を支える。美影はとても苦しそうだ。
…美影、首飾りをかけているのに…。
僕は、美影を支えたまま印を結んだ。そして、いつものように言霊を唱える。
「天地を縛り付ける者よ。今、我の前に姿を現せ!」
唱えた瞬間、強い霊気が渦巻き、悪霊が姿を現した。僕は、悪霊に御札を貼り付けて倒した。
「…っ」
美影の表情は、それでも苦しげだ。僕は、一旦谷口先生の所に向かう。
僕らの様子を見た先生は、僕らにかけていた魔法を一旦解いてくれた。
先生の判断で、先生は魔法を解いて良いことになっている。その代わり、先生が魔法を解いたことを示す印を貰わなければならないが。
「…気が付いた?」
僕は目を覚ました美影に声をかけた。美影はぼんやりと僕を見つめている。どこか上の空だ。
「……深冬?」
美影は僕の名前を呼び、辺りを見渡した。千晴は先生と話をしている。
「千晴!美影が目を覚ましたよ!」
「美影、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
美影が立ち上がると、先生は心配そうに美影を見つめながら「…無理はしないでね」と言って再び僕らに魔法をかけた。
僕らは、その場で空中浮遊魔法をかけて再び空へと舞い上がった。