星と太陽に魔法の歌を



5月の下旬、僕が通う魔法学校では「魔法体育祭(通称、魔法祭)」と呼ばれる行事がある。この行事は、魔法を使った全学年でのクラス対抗戦だ。

1種目めは、琥白が出る「魔法借りもの競走」だ。僕は、僕が出る種目までぼんやりと競技を見ようと決めた。

スタートの合図が鳴り響き、琥白を含めた4人が走り始めた。

お題が置かれている中間地点。琥白が紙を手に取り、紙を広げる。琥白は、紙を見てすぐにその場から姿を消す。美影の目の前に姿を現すと、美影の手を引いてゴールへ向かって走り始めた。

琥白がゴールに着くと、お題が書かれた紙を先生に渡した。

競技が終わり、僕は琥白に近づく。近づきながら、琥白に「お題、何だったの?」と問いかけた。

「『相談がしやすい人』だった。指定魔法は『移動魔法』」

この借りもの競走は、指定された魔法を使わなければならない(といっても数は少なく、大体の人は「移動魔法」だが)というルールがあった。魔法は、ゴールするまでの間ならどこで使っても良いのだ(ただし、使えるのは1回のみ)。
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