星と太陽に魔法の歌を



僕は、ゆっくりと目を覚ました。体を起こすと、昨日の出来事を振り返る。

僕の名前は、篠原(しのはら) 英太。原因不明だが今は僕の双子の兄、美影の身体を借りて過ごしている。

美影の魂は、多分僕が眠っていたみたいに僕の中で眠っているか、僕が起きていた時のように無言で僕の行動を見ているかのどちらかだ。

僕は昨日目を覚ましたら、違和感に気づき、念のために体を動かした。

僕の意志で体が動いていることを確信した僕は、保健室にいる皆に真実を伝えた。深冬も千晴も原因は分からないらしい。

「美影、起きなさい!」

部屋の外から美影の義母である近藤 咲輝(さき)さんの声が聞こえてきた。

「はーい」

僕は美影の振りをして適当に返事をすると朝食をとり、制服に着替えた。

…あ、髪留めの位置逆じゃん。これだと僕、英太になる。

僕と美影は、顔立ちや身長、体型などがそっくりだったために良く間違われた。それを減らすために、僕と美影で話し合って決めたことが1つある。

美影が自分から見て左側に、僕が自分から見て右側に髪留めを付けよう、ということだった。

これをやり始めてから、多少は間違われることはなくなった気がする。

制服に着替え終えた僕は、鏡に映った自分の姿を見る。

……完璧に美影じゃん。とりあえず、元に戻るために何とかしないと…。

僕は、家を出ると魔法学校に向かって歩き始めた。僕が道を歩いていると、美影の恋人である若竹さんが話しかけてきた。

「あ、えっと…氷翠、おはよう」

僕は若竹さんに向かって微笑むと、若竹さんは「…本当に美影みたいだ」と微笑んだ。

「…あれ、僕って魔法が使えるんだろうか…」

僕は、美影みたいに中学生の頃から魔法が使えていたわけではない。魔力はあるみたいだが。

「大丈夫。私たちで教えてあげるから…えっと、英太だっけ?」

若竹さんには、僕と美影との関係は明かしてない。ただ、琥白と深冬と千晴には感づかれているだろうけど。美影とは友達で、何故か入れ替わってしまったということにしておいた。

「そうだよ」

僕は、微笑んで若竹さんを見た。
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