星と太陽に魔法の歌を



僕は、授業を受けながら僕が生きていた頃の記憶を思い出していた。

美影と僕は、昔は(僕は今もだけど)『篠原』という名字だった。美影と僕は生みの親から愛されておらず、美影には暴言を吐いていた。

その間、僕はずっと自分の部屋でうずくまっていた。美影を助けたかったが、何も出来ない自分が嫌だった。

僕らが中学3年生になった夏、僕と美影で街を歩いていた時に、襲い来る車から美影を守るために美影を突き飛ばした。そこで僕は命を落としたが、何故か僕は美影の中にいた。

目を覚ました時、美影は今の義両親と幸せそうに暮らしていた。

その日から、ずっと美影を見守り続けていた。やっと美影は幸せを手に入れることが出来て、僕も嬉しかった。

「美影…!!」

僕は、ハッと顔を上げた。いつの間か授業が終わっていたらしく、若竹さんが僕に声をかけてきていた。

「どうしたの?」

僕は笑顔を浮かべ、若竹さんを見た。若竹さんは「こっちに来て」と僕を引っ張っていく。

抵抗をすることなく付いていくと、若竹さんは屋上に来た。そこには、琥白と紅月さん、深冬と千晴。そして――望さんと朔さんがいた。望さんと朔さんとは、中学3年生に進級する前の春休みに琥白と遊んでいた際に会ったのだ。

「美影くん…じゃなくて、英太くんだよね?氷翠から話しは聞いている。氷翠、瑠梨ちゃん…授業に戻ってくれないかな?英太くんと話をしたいんだ」

若竹さんと紅月さんは「分かった」とうなずいて、その場を離れた。
< 46 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop