星と太陽に魔法の歌を



俺は英太くんを眠らせると、望を見つめた。

「望、英太くんと一緒に美影くんを起こしに行って来る。皆を頼んだよ」

俺は目を閉じるとその場で魔法をかけ、美影くんの体の中に入り込んだ。俺が使ったこの魔法は、俺自身が幽霊の状態となり、他の人の中へと飛び込むことが出来る。

制限時間は、10分と長く持たない。それを越えると、自分自身に過度な負担を体に与えるため、命を落としてしまうことも少なくはない。

俺が目を開けると、そこは辺り一面が真っ白だ。その中に、鎖で縛られた美影くんがいた。

「……英太くん」

「朔さん!?」

英太くんは、俺を驚いた表情で見た。

「…英太くんを眠らせて、俺が着いてきた。…落ち着いて聞いて欲しい。あそこに美影が眠っているでしょ?」

俺は、美影くんを見つめながら言った。英太くんは「はい」とうなずく。

「…今から彼を強制的に起こす魔法をかける。彼が起きている間に、あの鎖を砕いてほしいんだ。起きている時は、あの鎖の威力は弱まっているから」

「…分かりました」

俺は、静かに言霊を唱え始めた。
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