星と太陽に魔法の歌を
「…最近、この家で奇妙な出来事が起こっているらしいから…」

美影が僕を見つめて言う。一瞬だけ美影の深い海のような青色の目から美しい青色に変わったのを僕は見逃さなかった。

…さっきの目の色、何だったんだろ…?てか、美影…さっき…らしい、って言った?

僕はそれに疑問を抱くが、僕は美影に問いかけなかった。聞いてはいけない、そう感じたからだ。

「深冬…お願いが――」

美影が口を開いた瞬間、美影の体が崩れ落ちる。僕は、美影の体を支える。美影の様子に美影の義両親は目を見開いた。

「危ないですので、下がっていてください。理由は後で話します!」

僕は、印を結びながら言った。美影の義両親は、驚きを隠せない様子だが素直に従ってくれた。僕は、ゆっくりといつもの言霊を唱える。

「天地を縛り付ける者よ。今、我の前に姿を現せ」

美影の体の中から強い霊気が渦巻き、1匹の悪霊が現れる。

「な、何…これ」

美影の義両親が悪霊を見ながら驚いている。悪霊は、美影の義両親を見つめると手に持っていた刀を美影の義両親に向かって振り下ろした。

僕は、悪霊と美影の義両親の間に割って入り、静かに目を閉じる。しかし、中々攻撃は当たらない。僕が目を開けてみると、光の鎖で動きを封じられた悪霊がいた。
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