星と太陽に魔法の歌を
美影を家に運んだ帰り道、僕と同じ黒で統一された制服を身にまとっている少年が歩いていた。僕は少年に寄りかかり、声をかけた。どこかで見たことがあるな、と思ったからだ。
「こんな時間に帰りなの?」
「…ん?あ、あぁ…ちょっと補習があってな。お前、誰だっけ?」
少年は僕を興味津々な目で見ている。僕は「転校生の神城 深冬」と自己紹介をした。この少年、同じクラスにいた気がする…。
「そうか…お前が美影の幼なじみか?この間、美影がお前のことを嬉しそうに話していたぞ。あ、俺の名前は、山吹 琥白(やまぶき こはく)だ。美影と深冬たちの同じクラスの…」
「…琥白か。僕も琥白のことを知っているよ…美影から聞いた」
琥白に向かって微笑むと、琥白は無邪気な笑顔を見せた。そして、僕の隣を見つめた。隣には、半透明の女の子が立っている。琥白、霊感があるのかな…?
『お兄ちゃん…怖い!』
「…どうしたの?」
『私、何者かに襲われているの…!』
「何者か…?て、聞かなくても分かった…」
「…深冬、その子の言っていることが分かるのか?」
琥白が僕を見つめながら言った。僕は「話は後!」と印を結んだ。
「天地を縛り付ける者よ。今、我の前に姿を現せ!」
僕が言霊を唱えると、悪霊が現れた。琥白は僕を見て驚いている。強い霊気が漂い、琥白が体を震わせた。
…普通の悪霊以上の霊気…。
僕は、1枚の御札に霊力を込めた。1枚の御札は、数を増やしていく。ある程度増えた所で、その御札を全て悪霊に投げつけた。御札が悪霊の周りを囲み、悪霊の動きを封じた。そして、悪霊が消えていく。
女の子は、僕に「ありがとう」と微笑み、どこかへと消えていく。
「え…?お前、一体何者だ?」
「僕?僕は…魔法使いであり、霊能力者だよ」
僕は琥白に笑いながら、真実を話した。…全てではないが。琥白は、霊感があるらしく、そのことを話してくれた。
「…美影のように首飾りを渡す必要は無さそうだ。でも、ひどい時は渡そうかな。とりあえず、これからよろしくね!」
僕は琥白に笑って見せた。