星と太陽に魔法の歌を
夏休み最終日の夕方。僕と千晴は、この町で行われる夏祭りに来ていた。
「今日の20時頃に、花火を打ち上げるらしいよ!」
かき氷を片手に持ち、もう片方の手で持ったスプーンでかき氷をつつきながら僕と向き合っていた千晴が言った。
「…なるほど」
僕はそう言って最後の一口である綿菓子を口に放り込むように入れた。
「…明日から学校かぁ」
そう言いながら僕が綿菓子を飲み込むと、後ろから「深冬!」と声をかけられた。後ろを振り返ると、天野さんと中学生ぐらいの男の子が立っていた。
「天野さん!」
「太郎くん!?」
「深冬、元気だった?こっちは、太郎って言って――」
「お、俺が自己紹介する…!俺は、天野 太郎。天野さんの所に、養子に来たんだ……千晴、あの時は本当に助かった…ありがとうな」
僕は太郎くんたちの話を、千晴から聞いていた。なので、大体の流れは分かっている。
「だから、気にしないでって言ってるでしょ?あ、こっちは――」
「僕は、神城 深冬。千晴の幼なじみだよ…よろしくね…」
僕は、太郎くんに向かって微笑む。太郎くんも微笑み返してくれた。
その時、空に一輪の花が咲いた。花火大会の開始の合図だ。
花火は、次第に豪華になっていく。キレイな花火が僕たちの目を奪った。
僕たちは花火が打ち終えるまで、その花火に見惚れていた。
さて、明日からまた頑張らないとね!