星と太陽に魔法の歌を
僕たちは魔法学校に帰ってくると、魔法草が入った袋を持ったまま『魔法化学室(通称、化学室)』に入った。この部屋は、魔法薬を作る時や、科学の時間に実験をする時に使う部屋で色々な実験器具などが置かれている。
化学室に入ると見覚えのある人物が教卓に立ち、実験器具をいじっていた。
「はい。座って」
氷翠の兄、朔さんは僕たちに座るように促す。僕たちは、慌てるように席に着いた。
「……えっと、初めまして。今回、谷口先生から『魔法薬の授業をしてほしい』と言われて来ました。若竹 朔と言います」
俺が自己紹介をして頭を下げると、皆から驚きの視線が突き刺さった。
「え?わ、若竹…?」
1人の女子がそう言って、氷翠を見つめる。氷翠は「…私の兄だよ」と言った。
「若竹さんの兄!?」
「…静かにしてください」
俺が騒がしい人たちにそう言うと、徐々に周りが静かになっていく。
「…1つ聞きたいことがあります。実際に1から魔法薬を作ったことはありますか?……その辺はどうなの?」
俺が1番前に座っている少年に問いかけると、少年は「いや、途中までは先生が作ってくれる」と答えた。
「なるほど…まず、水を溜めた容器に魔法草を浸けます」
俺は、透明な容器に入っている水に魔法草を浸けた。魔法草は一瞬で水に溶け、淡い桃色の液体になった。