Diary



「...きて、起きて菜穂」




どれくらい寝ていたのかよく分からない。


ただぐっすり寝たのだけは分かった。


そして、肩を揺する体温と私の名前を呼ぶ声で意識が引き戻された。



「はぁー、よく寝たー」


「寝すぎだよ」


ちょっと待って、

この声...


「まだ寝ぼけてる?」


「...っ」


なんで依利が。

他のみんなは?

思わず辺りを見回す。


「みんなはもう帰ったよ」


ずっと寝てたんだよ。って少し笑いながら言われた。


「そっか、起こしてくれてありがとう。
私もう帰るね」


バクバクしている心臓を抑えながら極めて冷静に言葉を放った。


「待って、菜穂のこと待ってたのに先帰っちゃうの?」


う...。

確かに依利が起こしてくれなかったら次の日まで寝てる勢いだったから感謝してるけどさ。


「へぇー、起こしてくれた人置いて先帰るんだ...?」


「...分かった。一緒に帰ろう」



今回だけ。今日だけ。


そう自分に言い聞かせて依利と二人、学校を出た。





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