恋する耳たぶ
・またね
休日、おしゃれなカフェで、素敵な男性と一緒にコーヒーを飲む。
これはもう、映画でもドラマでも飽きるくらいに繰り返されているド定番のシチュエーションだろうけれど、初体験の私は、なんだかずっとソワソワしている。
いわゆる恋愛経験がそれほど多くないせいなのかな。
これまで私がお付き合いした数少ない男の人達は、こんなカフェに連れて来てくれるようなタイプではなかったように思う。
匡 (たすく)さん。
先週、結婚して地方に引っ越した友達の所へ行く途中に会った、素敵な耳を持つ人。
高速バスの席が隣で、バスを降りてから向かう方向も同じ。
なんだか運命めいた偶然の連鎖に、単純な私があっさりときめいてしまったのは言うまでもない。
まあ、そもそも、バスの中で彼の耳を見た時から、既にときめいてはいたんだけど。
彼の耳は、平たくてまあるい上の部分と下の部分をつなぐ通路のような部分がキュッと狭い道のようになっている。
耳たぶはとてもタイトで、ピアスの穴なんかはあいていない。
皮膚が薄くて血の色が透けやすいみたいで、今日初めて待ち合わせ場所で見た時には、おや?と思うくらいに赤くなっていてた。