恋する耳たぶ
だけど、現実は厳しいもので。
下心満載の私は、匡さんに見とれて、服にコーヒーをこぼしてしまった。
もちろん、現場は大騒ぎ。
私のテンションがた落ち。
でも、そんな私にも、匡さんは優しくて。
うれしい、と、すき、が爆発した私は、匡さんに抱き着いてしまった。
いや、いきなり抱き着くとか、痴女か、と。
匡さんも、きっと思ったに違いない。
初デートで抱き着いて来るとか、こいつガッつきすぎじゃね?と。
ああ、もう、どうしよう。
匡さん、きっと引いてるだろーなー。
ただでさえ、ガツガツ連絡したり、思いっきり見つめちゃったりしてたからなー。
多分、気づかれてる。
私が、すごく好きだってこと。
あわよくば、付き合ってもらえないだろうか、と虎視眈々と狙っていること。
気づかれて、引かれちゃったに違いない。
匡さんは、控えめ、というか、草食、というか。
女の子と知り合ったら、即ホテルとか、ちょっと仲良くなったら、すぐ付き合っちゃおうぜ、とか。
そういうタイプじゃなさそうだから。