恋する耳たぶ
アホなことを考える、こういう時間が幸せに思えてしまうんだよなぁ。
そもそも、俺は昔からこうだった。
子供の頃、親に連れて行かれた遊園地のヒーローショーとかでも、握手して!ポーズきめて!とヒーローに群がる子供達を遠巻きに眺めている方が好きだった。
まあ、ヒーローと女の子は全く違うんだけどさ。
眺めてて楽しいっていうのはイイよな。
てんで違う方を探している彼女に、ふっと笑いがこぼすと、それを察知したかのように、彼女の頭がくるりとこちらを向いた。
俺を見つけて、ぱあっと広がる笑顔。
小さく手を振りながら駆け寄って来る彼女の方へ踏み出しながら、俺は今日こそ、一歩を踏み出す決意をした。