恋する耳たぶ
・運命というもの
縁というのは不思議なもの。
運命の出会い、というものは、本当に思いがけない場所に落ちているものなのだ。
その場所は本当に人それぞれで、決まった法則などは無い。
ある人は、職場で。
ある人は、いつも通っているコンビニで。
そして、ある人は、気まぐれで入った店で。
学校で、飲み会で、パーティーで。
いずれにしろ、ある日、ある時。
予期せぬところで、ふいに出会ってしまうものらしい。
とはいえ、無神論者であり、非ロマンチスト、かつ、非モテで、恋愛体質でもない俺は、そんなことを熱く語られてもまったくもって共感できなかった。
知らない人間同士がある場所でふいに出会い、恋に落ち、幸せなリア充生活に突入する……
それは一体、どういう仕組みで起こる現象なのか。
そもそも、会った瞬間に、相手がどういう人間かもわからずに好ましく思うなんて、浅はか、としか言いようがない。