恋する耳たぶ
大通りから一本入った路地はいくつか灯りの漏れる店はあるけれど、今のところ、人の姿は無い……けれど。
いいって…………なにを?
声にはだせなかったけれど、そういう想いをこめて見上げると、匡さんはその声を拾ったように優しく目を細めて言った。
「いいかな?キス、しても」
ふいをつかれた私は、返事をすることができなかったけれど。
ゆっくりと顔を寄せた匡さんに吸い込まれるように、私はそっと目を閉じた。