恋する耳たぶ
ぽかん、と口を開いてしまった私に、真凡ちゃんはまた大きくため息をついて目つきを鋭くする。
「紬未さんのそういうところが心配なんですよ。本当にお人よしなんだから」
確かに私、ちょっとあぶないところがあるって、昔から周りの人によく言われてた。
街中で、なぜだか声をかけられて、謎の壺とか、高い化粧品とか、買わされそうになったり。
ちょっと道を教えて欲しい、と言われて、車に乗せられそうになったところを、あやうく友達に助け出されたこともある。
「だって……大変なことになってる人がいたら、何かしたいって思うじゃない」
私の言葉に、ちょっと悲しそうに顔をしかめる真凡ちゃん。
「そういう気持ち、大切だって、私も思います。本当に困っている時に助けてくれる人がいるってことが、どれだけ嬉しいかってこともわかってます……だけど」
固い声で言って、お箸を置いた手が小さく震えていた。