恋する耳たぶ
「そういう気持ちを利用する人だっているんです。紬未さんみたいな人を傷つける人が……」
うつむいた真凡ちゃんの目から、ぽとりと落ちる小さな雫。
「……真凡ちゃん?」
「そういう人が傷つけられるなんて、私……イヤなんです」
そっとバッグから取り出したハンカチで、真凡ちゃんの目元を拭う。
よしよし、と、頭をぽんぽんすると、真凡ちゃんはぐすぐすとはなをすすりながら言った。
「疑ってください、紬未さん。ほんの少しでいいから」
「真凡ちゃん……」
そして、真凡ちゃんは、ぼそぼそと小さな声でお母さんの話をしてくれた。
ほとんど人に話したことが無いという、その話は、短かったけれど、幼かった真凡ちゃんのことを思うと、とてもつらく、悲しい話だった。
お昼休みの時間いっぱいを、涙を浮かべた真凡ちゃんと過ごして。
私は少し反省……したどころじゃなく。
いろいろと抜けていた点に気づかされ、浮かれていた自分を大いに反省することになった。