恋する耳たぶ
好きな人ができた……っていうシチュエーションも、嫌だし。
真凡ちゃんの言ってたような、詐欺だなんて……無理無理。
なんかもう、人間不信に陥って、仕事も行けなくなっちゃうかもしれない。
でも、それでも!
実際には起こってもいない、『かもしれない』って考えて、立ち止まっちゃうのはイヤなの。
好きな人といられるのって、本当は、けっこう貴重なことだから……
もう、こんなモヤモヤを抱えてる時間が無駄!
私は昨日、好きな人に結婚しようって言われて、幸せの絶頂のはずなのに!!
「……そう、そうだよ」
ひとりつぶやいて、私は、自宅へ向かうのとは違う路線のホームに向かい、思い切って、えいやっと足を乗せた。