恋する耳たぶ
「あ、あの!……匡さん!」
そう呼ばれて顔を上げると、今度はどこか緊張した面持ちで紬未ちゃんが俺を見ていた。
「……はい」
紬未ちゃんの緊張に、つられて俺も、ちょっと改まって返事をする。
「昨日のって……その…………アレですよね?」
「うん……アレ、です」
今更、確認って……やっぱりアレなの?断られるの??
唇を引き結び、沈黙してしまった紬未ちゃんに耐えきれなくなって、冗談めかして言ってみる。
「…………アレ、やっぱり無しで……」
なんてないよね~?と言おうとしたのに、そう言われた時を想像してしまうと、思った以上のショックに、そこから先が続かなかった。
昨日、プロポーズした時はちっとも緊張なんかしなかったというのに。
今はちょっと指先が震えそうなのを感じるくらい、ものすごく緊張している。