恋する耳たぶ

「えっ?!どうしたの?!」
「どうしたのって……」

紬未ちゃんが口を開くと、ぽろり、と決壊した涙が頬を転がり落ちた。

それを見た俺の頭は真っ白。

大抵の男がそうであるように、腰を浮かせかけ、座り直し、手を伸ばしてひっこめ……

つまりは意味のない挙動不審な行動を繰り出して、おろおろするばかり。


えっと、これは……俺のせいだよな?

ちょっと今、下向いてて、紬未ちゃんの様子を確認できてなかったけど、他に誰もいないし。

でも俺…………何かした?!

それとも、紬未ちゃん、そもそも泣きそうな気分だった?!

え???

えーと………どういうこと???

なにこれ?

どうしたらいいの?俺?!


完全にパニックな俺は、どうしたらいいのか全く見当もつかず、意を決して、おそるおそる彼女の名前を呼んだ。

「……紬未ちゃん?」

返事はなく、紬未ちゃんは下を向き、小さくしゃくりあげるばかり。


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