恋する耳たぶ
・ゆっくりいこう

真凡ちゃんの話を聞いて、モヤモヤしてしまった気持ちをスッキリさせようと意気込んではみたものの、いざ匡さんの顔を見ると、なかなか言い出せるものではなくて……

だって、そうでしょ?
そもそも、なんて言えばいいの?

『私のこと、遊びなんですか?』
『これって結婚詐欺ですか?』

思いつく言葉はどれもハードな内容で、口にしようと思うだけで気持ちが沈んでいく。

しびれを切らした……というか、今考えれば、様子のおかしい私を見かねたらしい匡さんが軽い感じで声をかけてくれたんだけど。

昨日のは、やっぱり無しで、なんて。

言われた瞬間に、涙が勝手にドバっと流れ出てた。

はぁ……正直すぎるよ、私の涙腺。

ごはん屋さんで、周りに人もいるっていうのに、ぐしゃぐしゃに泣いてしまった私を見た匡さんは見たことないくらいに焦って。

それでも、最後は優しく私の手を握って、ちゃんと話そうって言ってくれた。

匡さんの関係のないところで、私が勝手にグラついて、勝手に不安になってただけなのに。

本当に、匡さんてば、優しすぎる……


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