恋する耳たぶ
そんなわけで私と匡さんは、まだ清い間柄……
なのだけれど。
いろいろ話して心も通じ合い、お互いの気持ちを確かめ合って、け、結婚の約束までした……いわゆる婚約者っていうやつなのです!
「……こ、婚約者っ……」
自分の頭の中で言っただけだけど、(思わず口をついて出ちゃったような気もするけど)その単語の放つ嬉恥ずかしい衝撃波の威力に、私は思わず体をくの字に折って大興奮のあまり悶絶してしまう。
…………婚約者…………婚約者っ……!
婚約者っていうのは……、いわゆる恋人の上位版、だよね!
これまでマトモに“恋人”という地位にさえついたことのない私が、一気にひとっとびで3階級昇進したようなもんじゃないですか、これは!!
しかも、相手は匡さん!!
いや、私的にも、第三者的視点から考えても、相手は匡さんしか考えられないんだけどね。