恋する耳たぶ
少し遅めの朝食の後、匡さんが淹れてくれたコーヒーをのみながらおしゃべりしていたら、あっという間に午前は終わり……
なんだかちょっとお腹が空いたね、ということで、匡さんがよく行くという、近所のお店でお昼を食べた。
今までみたいな、おしゃれなカフェでのデートもよかったけれど。
ご夫婦でやっていると思われる小さな和食屋さんは、添えられた小鉢とお味噌汁が家庭的でおいしくて。
あったかい感じのするお店だった。
「いいお店でしたね」
駅に向かう道すがら、満腹になったお腹に手をやってそう言うと、匡さんは、眉を下げてやわらかく苦笑した。
「そう?……女の子を連れて行くのはどうかな、と思ったんだけど」
「……そう、ですか?」
確かに、男の人が多かった気もするけど。
「女の子だって、いろいろですから」
「……そうだね」
匡さんは声をたてて笑い、ものすごくナチュラルな仕草で私の手を握った。
「紬未ちゃんがそういう女の子で、よかったよ」
さらっと言う匡さんの変わらない横顔を見上げて、私は急激に頬が熱くなっていくのを感じる。
本当にもう匡さんは……