恋する耳たぶ
・いつもと違う、けれど

匡さんと出会ってから、まだ1年も経っていないというのに、私の生活はすっかり変わってしまった。

鏡に映る私も、私の記憶にある私とは、どこか違う雰囲気で。

自分で言うのもおかしいけれど、なんだかちょっと、綺麗になった、、、ような。

今日という日のために始めたダイエットは、マイナス2キロという微妙な結果に終わっているから、多分、痩せたとか、そういうことではない。

なんだかんだで忙しくって、エステとか行ってみた方がいいかなあ、なんて考えてはみたもの、実行されることはなく……

結局、匡さんと会う前と、それほど変わっていないはずの私がなんだか違って見えるのは、多分、内面からにじみ出る……

「失礼します~」
「あ、ハイ」
「ごめんなさいね。昨日、準備してくれたスタッフが間違っちゃったみたいで……」

ノックもそこそこに部屋に入って来た私より少し年上の女性は、通勤時間の朝、駅に向かうサラリーマンくらいの、少し早めのテンポでまっすぐに歩いて来ると、私の後ろに立つ。


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