雪の降る最後の日、あなたに伝えます





二人しかいない静かな部屋に、ストーブ特有の油の匂いが鼻を刺激する。

先生がページをめくる音がとても心地いい。

このまま時間が止まってくれたら、と願う。


ずっと二人だけの世界で……。


でも、時間は容赦なく進む。だから、私はこの物語を終わらせなくちゃいけない。

あの、ちょっと癖っ毛の髪も、

長い睫毛も、

右眼の下の色気あるホクロも、

柔らかそうな唇も、

全てが愛おしいと思う。



すき、だから。



強い、炎の様に燃え上がる小さな光が私に勇気をくれる。
そう思ったらペンはするりと白い紙を塗りつぶしていった。



あと三日の終わりに向けて……。















< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop