恋のはじまりは突然に
「〝じゅう〟だな。あいつが今20歳で俺が今30歳だから」
「へぇ〜、結構離れてたんだぁ。じゃあ、奏多さんも30歳?」
「うん、そういうこと」

10歳の年の差ってどうなんだろう。たまに周りとかでもいるけど、会話合うのかな、とか気を使ったりしないのかな、とか思ってはいたんだけど。

「あれ?希望ちゃん20歳なら、私たちと一緒だ。ね、結奈?」
「え?あ、そうだね。正確には、私まだ19歳だけど」
「なによ、あと5日もすれば20歳でしょうよ」

清美の言う通り、あと5日で20歳なのだから、もう20歳でいいのだけど、なんだろう、まだ十代でいたい気持ちが強いのかな?

「えー、結奈ちゃんもうすぐ誕生日なんだ?まだ早いけど、おめでとう!」
「あ、ありがとうございます……」

〝おめでとう〟と言われると、何だか照れてしまう。

もうすぐ20歳か。何か変わったりするのかなぁ?なんて思いながら、鶏軟骨の唐揚げを口に放り込んだ。

「つーか、まだ未成年なのにビール飲んでいいわけ」
「……これは、もうすぐ誕生日くるし、いいかなって」
「ふーん」

蓮司さんの言葉にドキッとした。でも本当にお酒は今年に入ってから初めて飲んで、みんなは20歳だけど、そこは我慢してたんだから、ちょっとのフライングくらい、いいよね……?!

え、ダメなのかな……私補導とかされちゃうのかな……どうしよう、帰りに身分証明書見せてくださいって警察の人に捕まったら!
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