恋のはじまりは突然に
「二人とも食べたいのあったら食べていいからね」

そう言って、奏多さんは焼き鳥に手を付けた。

「奏多さんは彼女いるんですかー？」
「いたら、こんな日に男と一緒にいないでしょー」

清美は本当に奏多さん狙いなんだろう。

何とか奏多さんのことを聞きたくて、アレコレ聞き始めていた。

一方私は蓮司さんと何を話すわけでもなく、ただビール片手に清美が喋る様子を見ていた。

「お前の友達、奏多落とす気満々だな」
「……あはは、そうですね」

やっと蓮司さんから話しかけられたと思ったら、清美の話で、何だか自分のことのように恥ずかしくなり笑うしかなかった。

「うまくいけばいいと思ってんの？」
「え？清美と奏多さん、ですよね？……うーん、そりゃあ清美は友達なので幸せになってくれたら嬉しいですけど、奏多さんの対応が大人すぎて、清美相手にされてない気もするんですけど……」

正直に話すと、蓮司さんがちょっとだけ笑って〝当たり。多分あいつは本気にはならねぇな〟と言って、だし巻き卵に箸をつけた。
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