恋のはじまりは突然に
そのまま清美のほうを見ると、清美も私のほうを見ていて、チャンスと言わんばかりの顔をしてきた。

「えー、いいよ。やめようよ……」

ぶっちゃけ、彼氏は欲しいけど、声をかけてまで欲しいとは思っていなくて。

「やだ、声かける!」

それなのに清美は、私の言うことなんか聞きもしないで。

「お兄さーん、こっちで一緒に飲みませんかー?」

席に案内する途中の彼らに、そこそこ大きな声で清美が彼らの足を止めた。

やだなぁ、見ず知らずの人たちと飲むなんて……。そう思っていると、予想とはまったく違うことが起こった。

「チッ」と言う、それはそれは100%機嫌の悪い舌打ちで、一人の男がギロリと私たちを睨んできた。

ほらやっぱり……。言わんこっちゃない。
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