恋のはじまりは突然に
タクシーを捕まえて蓮司さんが行き先を伝えると、車はゆっくりと発進した。

どこへ向かっているんだろう。と言っても概ね予想は付く。

こういう時は大体、ホテルか自宅だろう。

でも後腐れない関係を……というならば自宅ではなくホテルなんだと思う。

蓮司さんは今何を考えているのだろうか。

タクシーに乗って窓から外を眺めている彼は一言も発していなくて、ただ私の手だけは優しく握ってくれていた。
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