恋のはじまりは突然に
「ごめんな、もうちょい一緒にいたいとか、俺って女みたいだな」

蓮司さんは酷く弱っているみたいで、私なんかで良いのなら傍にいてあげたいなって思った。

「抱いても……いいですよ」

本当に自然と口から出た言葉だった。

蓮司さんは一瞬目を大きくさせ驚いていたけど、すぐに目を細めて笑った。

「言ったろ?傷付けるようなことはしねぇ、って」

蓮司さんは最初から私を抱くつもりはなかったっていうことなのかな。

「でも、俺がお前に触れてもいいなら抱きしめさせてくれないか」
「そんなんでいいんですか?」
「あぁ」

私が小さく頷くと蓮司さんは、優しく壊れ物を扱うように、私を抱きしめた。

この時私は気付いてしまったんだ。この状況にドキドキしてるんじゃない、蓮司さんだからドキドキしてるんだ、って。
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