恋のはじまりは突然に
「その涙はなに?俺んとこ帰ってきてくれんの?」
「………」
「はぁ、無理だよなぁ。悪りぃ、ダセェな俺」

希望は涙を堪え切れなくなったのか、ボロボロと頬を伝い、零れ落ちていた。

そしてそれを前なら拭っていたけど、手は出してはいけないだろうと、自分でブレーキをかけ、彼女の言葉を待った。

「ごめん……ごめんねっ、あの、蓮司は優しくて、ずっと私のこと好きでいてくれて、本当に幸せだったの。でもね、蓮司はやっぱり私より考え方とかも全部全部大人で、付いていくのに、いっぱいいっぱいだった時があったの」

あぁ、やっぱり無理させてたんだなと彼女の言葉を聞いて思った。

「新しい男は、同じくらいの年なのか?」
「……うん、同い年」
「そうか。なら、言いたいことも気兼ねなく言えるな。今度は無理するなよ?」

本当は別れたくなかったし、俺のワガママで隣にいてくれるなら、いてほしいとも思った。

けど、嫌な思いをするのはコイツで、好きな女を笑顔に出来ないのは、もう男としてダメだなと思い知った。

「蓮司も……次、恋愛する子は蓮司もワガママ言ったらいいかもよ」
「恋愛する子って、なんで年下限定なんだよ、しかもワガママ言えってなんだよ」

本当に希望と戻ることはないんだなと実感した……次恋愛する子って、俺はまだ癒えてないっつーの。
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