恋のはじまりは突然に
「お前ら、さっきから何なんだよ。人の話盗み聞きしやがって、そんなに俺の不幸話はおもしろいかよ」
「っ、ごめんなさい！そんなつもりじゃなくて……ほら、清美も謝って！」

希望ちゃんの元カレはかなりキレていらして、吹き出したのは私ではないけれど、必死で頭を下げ、清美にも謝るように促した。

「すみませんでした」

明らかに心から謝っていない清美の態度に、希望ちゃんの元カレはまた〝チッ〟と舌打ちをしてきた。

「蓮司、やめなって。女の子相手に、何マジでキレてんだよ」

もう一人の男が私たちの席まで来て、蓮司（れんじ）という男を宥めた。

「あの、私たち……ごめんなさい」
「いいのいいの、大人げないコイツが悪いんだから。気悪くさせたでしょ、ごめんね？」

私がもう一人の男に謝ると彼は、大人げないのが悪いと、私たちに怒るどころか謝ってきた。

すると〝チッ〟というまた舌打ちが……。彼は、舌打ちをするのが癖なのだろうか。
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