恋のはじまりは突然に
「蓮司さん、家ここです」
「そうか」
「蓮司さん家と比べたら恥ずかしいアパートですが……」
「そんなことないだろ。でも女の一人暮らしにしちゃ危なくないか?」

蓮司さんに住んでる家を恥ずかしながら教えたんだけど、セキュリティの心配をしてくれて。

セキュリティに関しては、まったくなくて、普通にただの二階建てのアパートだし、しかも一階に住んでるし。

でも、そこまで稼ぎが良いわけじゃないから、仕方ないというか……。

「うーん、でもまだ危険な目に遭ったことないですし」
「これから遭ったらどうすんだよ」

そんなこと言われてもなぁ。危険な目に遭うつもりで住んでるわけじゃないし……。

「お前の連絡先教えて?」
「え?聞いてくれるんですか?」
「あー、嫌だったか?」
「嫌なわけないじゃないですか」

だって何かの用事の時には、連絡してくれるってことでしょう?

「お前はまた素直に……」
「ん?なんですか?」
「なんでもねぇよ」

蓮司さん、また髪クシャッてしてる。何回か見てるなぁ。癖なのかな?
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