恋のはじまりは突然に
その後お互いの連絡先を交換して、もうお別れなんだなぁって寂しくなった時。

「何かあったら連絡しろよ」
「え?」
「だから何かあったら困るだろ。ストーカーとか、不審者とか、変なのいるんだから」
「連絡したら来てくれるんですか……?」
「あぁ」

やっぱり蓮司さんは優しい人。きっと希望ちゃんにも、うんと優しくしてきたんだろうなぁって思うの。

「じゃあ、ウソついて蓮司さんに来てもらおうかな」
「……っ、変なのぶっ込んでくんな」

10歳も年上だけど、こうやってちょっとだけイジると、すごく楽しくて。

蓮司さんも、ちょっとだけ楽しいなって思ってくれたら嬉しいなって思う。

「じゃあ、連絡するよ」
「……はい。今日はありがとうございました。気を付けて帰って下さいね」
「あぁ。お前はすぐに家に入るんだぞ」
「はい、分かりました」
「ん、じゃあな」

子供扱いみたいだけど、蓮司さんにされるのは全然嫌じゃなくて。

ずっと見ていたかったけど、本当に怒られそうだから、素直に家に入ることにした。
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