恋のはじまりは突然に
「ったく。寒かっただろ」
「っ、」

怒っていたと思っていたのに、蓮司さんが私の頭を優しく撫でるから、何も言葉が出てこなかった。

「ほら行くぞ」
「……はい」

見るとタクシーが止まっていて、それに乗り込むと、蓮司さんは運転手さんに行き先を告げ、ゆっくりと目的地に向かって走り出した。

「身体、冷えただろ」
「い、いえっ。大丈夫ですっ」

さっきまでは結構寒かったんだけど、今は蓮司さんが私の身体に触れているから、寒さなんてもう全然なくって。

「嘘つくなよ」
「いや、本当に……」
「寒くないわけないだろ。あんな外で待ってて」
「さ、さっきは寒かったですけど……今は本当に大丈夫なんです……」

あーもう、どんどん熱くなってくるっ。恥ずかしいくらい!

「んな、すぐにあったまるわけないだろ?」
「なるんです!」
「は?なんでだよ」
「なんでって言われましても……」

蓮司さんに触られてるからなんです!って言っていいの?!
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