恋のはじまりは突然に
「結奈の傍にいたい」

そう言うと蓮司さんは私の方へと移動してきて、目の前に跪き、持っていた小さな箱を私の手のひらにのせた。

「俺と付き合ってほしい」
「はいっ、」

蓮司さんの口から付き合ってほしいと言われ、一気に感情が溢れ出し、ケーキ以上にボロボロ涙をこぼすと彼は「だから泣きすぎだって」と呆れた声を出しながらも、頭をポンポンと優しく撫でてくれた。

「これ開けてもいいですか……?」
「あぁ。俺もお前の反応見たかったんだ」
「反応って……?」
「まだお前が好きなもんとか把握してないだろ。だから、何を渡したら喜ぶのか全然分んなくて」
「蓮司さんからのプレゼントなら、何でも嬉しいのに」

それにしても私の反応を見たいなんて、これから箱の中を見るのに、ちゃんと蓮司さんの思う反応が出来るのかが心配なんだけど……。

改めて受け取ったプレゼントの箱を見てみると、真四角ではなくて、少し平べったい長方形の箱。

ドキドキしながら箱を開けると、綺麗な色をしたイヤリングだった。

「わぁ、綺麗!けど、こういうの付けたことないから、私に似合うか心配なんですけど……」
「お前に似合うと思うけどな。デザインとか大丈夫か?嫌じゃないか?」
「ううん、嫌なデザインなんてないですよ。シンプルだけど、存在感があって素敵です」

蓮司さんがプレゼントしてくれたイヤリングは、3つのジュエルがお花のようになっていて、ピンクとレッドと私の誕生石のアメジストという色で完全に一目惚れしてしまうデザインだった。
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