人魚姫の涙
隣に腰掛けた俺に、紗羅はいつもの様子でニッコリと笑った。


「おばさん、昔から綺麗だったんだね」


そう言って、紗羅は年期の入ったアルバムを熱心に眺めた。

その横顔を見て、つられて笑う。


「昔はな」

「ふふっ、ひどい」

「でも、大学時代はミスコンで優勝した事あるって聞いた事あるな」

「本当!? おばさんスゴイ!!」

「今はただのオバサンだけどな」

「ひど~い」


ケラケラと笑いながら、紗羅は楽しそうにアルバムを見ている。

年期の入ったアルバムは所々黄ばんではいるものの、大切に保管されているのが見て分かる。


「海が好きだったみたいでさ、結婚して海の近くのここに家を建てたんだって」


紗羅が見ている、ダイビングをしている母さんの写真。

結婚前はいろんな国の海へダイビングをしに行っていたみたいだ。
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