人魚姫の涙

沙羅が調べたい事は一つ。

自分の母親が本当の母親なのか。


ぎゅと唇を噛んで、俯いた沙羅。

今にも消えてしまいそうなその姿に、思わず声をかけようと口を開く。


「さ――…」

「O型」


名前を呼ぼうとしたと同時に、紗羅が俺の声を遮った。

その瞬間、世界は止まる。


「ママはO型だった」


ゆっくりと顔を上げた紗羅は、今にも泣き出しそうな顔をして笑っていた。

その意味は俺でも分かる。


O型同士の両親から、B型は産まれない――。
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